ホテル業界を目指す人にとって気になるのが年収や自身のキャリアアップ。正直なところ、ホテル業界は他業界に比べて平均年収は決して高くありません。
さまざまな口コミや調査などを見てみても、ホテルマンの年収はおおよそ300万円程度。年々昇給していけばいいですが、そう簡単に収入が増えるというわけでもないようです。しかし、外資系ホテルや一流ホテルは例外。順調にキャリアアップできれば平均年収1000万円クラスも夢ではありません。
どんなホテルマンが高収入を得ているのか、また、どうすれば高収入を得られるようになるのか。さらにキャリアアップに必要なスキルについても解説します。
ホテルマンの平均年収
ホテルマンの平均年収
ホテルマンの平均年収は、さまざまな口コミやブログ、サイトなどの情報をまとめると、おおよそ300万円台ということが分かります。国税庁による平成29年分民間給与実態統計調査結果によると日本人の平均年収は432万円。そのためホテルマンの平均年収は日本人全体の平均年収より低いということができます。激務と言われるホテル業界。決して満足できる平均年収とは言えなさそうです。
ただし、ホテルマンと一言で言ってもフロント、ベルボーイなどの接客部門から、企画、営業、経理など裏方の部門まで、業務内容も多岐に渡ります。
仕事内容や性別、働き方によっても差が出てくるため、年収の幅も200万円台~600万円台と開きがあるのが実際のところ。自分が配属される部署によっても平均年収は変わってきます。
ホテルマンのボーナス・賞与
ホテルマンのボーナス・賞与は、出るところもあれば寸志程度というところもあり、ホテルによってさまざまです。契約社員であればまったくもらえないケースもあります。ボーナスが出るホテルでも、夏と冬の年2回、年間で給与4か月分程度と格段高いわけでもないです。
ただし、職場での評価や景気によってはボーナス額が上がっていくことも。また、老舗・大手ではボーナス額がかなり高いホテルや、年功序列制のため社歴が長くなればなるほどボーナス額がアップするというホテルもあり、就業するホテルによっても差が出てきます。
ホテルマンの平均月収
ホテルマンの月収は大学新卒入社の初任給で20万円前後、短大や専門卒の場合は17万円前後と言われています。
また、口コミサイトなどではホテルマン全体の平均月収が23万円というデータも出ており、決して高水準とは言えません。
就業先のホテルや所属する部署、勤続年数、勤務態度によって昇給もあるため、月収がかなり上がる人もいれば、なかには入社時のままという人もいます。おおむね役職が上がれば月収が上がることがほとんど。平均月収のベースを上げたいのであれば、キャリアアップ、昇進は必須と言えます。
ホテルマンの月収は残業代に左右される
ホテルマンの月収を大きく左右するのが残業代や時間外手当です。24時間体制でお客様ファーストの営業を行うホテル業界では、やはり残業が多くなる傾向があります。特に接客業務を行うベルボーイやフロントなどは残業も致し方ないといったところでしょう。
ただし、閑散期と繁忙期では残業時間の差が大きく、閑散期にはほぼ残業なしといったケースも。定時で帰れる反面、残業代や時間外手当が出ず、その月の月収が低くなってしまいます。繁忙期はその逆で、残業が多くハードな反面、月収が高くなります。
シーズンによって月収に差が出るため、特に家庭を持っている方の場合は毎月の収支コントロールが必要と言えるでしょう。
一流ホテルの平均年収
ホテル業界の中でも平均年収が高いと言われるのが、外資系ホテルや一流ホテルといった大手ホテルです。日本一流ホテルの御三家と言われるのが、帝国ホテル東京、ホテルオークラ東京、ホテルニューオータニ。今回は御三家の一つ、帝国ホテルの平均年収について調べてみました。
また、ビジネスホテルの代表格であるアパホテルの平均年収についてもリサーチ。一流ホテルとビジネスホテルでは仕事内容も違いはありますが、どれくらい年収に差があるのでしょうか。比較して参考にしてみましょう。
帝国ホテルの平均年収
帝国ホテルと言えば日本でもトップクラスの一流ホテルです。東京都千代田区に本社を構え、創立は1887年になります。
帝国ホテルの有価証券報告書によると、2018年発表の帝国ホテルの平均年収は約560万円でした。ここ10年ほどの平均年収をみてもおおむね550万円~600万円を推移しているようです。
ホテルマン全体の平均年収が300万円ほどということを考えると、帝国ホテルの年収はホテル業界の中では高水準と言えます。ただ、その他業種の大手企業やメーカーなどと比べると決して高い水準とは言えないでしょう。
アパホテルの平均年収
アパホテルは、アパグループが展開するビジネスホテルチェーンです。1984年12月に金沢市内で開業されて以降、駅前を中心に日本各地に展開。日本のみならず国外にも展開されており、今や建設中のホテルも合わせるとホテル数は440に。日本人にはおなじみのビジネスホテルとなっています。
そんなアパホテルで働くホテルマンの平均年収はどれくらいなのでしょう。複数の口コミサイトの情報をまとめると250万円~500万円という数字が出ています。
それらの数字から平均年収は約370万円あたりと言えそうです。やはり帝国ホテルの数字と比べると平均年収の水準は低いことが分かります。ただし、アパホテルの場合は地方にもホテルを多数持っています。地方は都市と比べると地域全体の賃金水準が低いことが多く、平均年収を下げる一因となっているかもしれません。
高収入を目指すなら、一流ホテルのマネージャーを目指すべし
一流ホテルのマネージャーの平均年収
ホテル業界で高収入を目指すのであれば、一流ホテルのマネージャーを目指すのがもっとも確実な方法です。では一流ホテルのマネージャーの平均年収はどれくらいなのでしょう。
帝国ホテルの平均年収が550万円~600万円だとお伝えしましたが、すべての社員がこの年収を得ているわけではありません。一流ホテルや大手ホテルでは通常の給与とは別に役職手当が多く支払われるケースが多くあります。特にマネージャーや支配人クラスになると給与は格段にアップ。
年収1000万円以上という高収入を得ているホテルマンも実際にいます。その代わり、管理職のため残業代などは基本的には含まれません。高い年収を得られる代わりに、サービス残業や休日出勤は覚悟しなければならないでしょう。それらを加味しての年収というわけです。
一流ホテルのマネージャーのボーナス・賞与
一流ホテルのマネージャーになると、ボーナスや賞与はいくらくらいもらえるのでしょうか。就業するホテルによって差はありますが、250万~300万円というのが妥当なところでしょう。マ
ネージャーになると給与に残業代が含まれないため、基本月収も高く設定されています。そのため月収の〇ヶ月分という単位で支給されるボーナスもおのずと高くなってきます。責任も重くはなりますが、それに見合った給与が出るのであれば仕事のやりがいやモチベーションアップにもつながりそうです。
一流ホテルのマネージャーになるには
一流ホテルのマネージャーになるには転職でキャリアップするのが一番の近道です。
まずはどこかのホテルの正社員として入社しましょう。いきなり一流ホテルが難しければ一般的なホテルでも大丈夫です。入社後はまずフロントや客室係などの仕事で接客の基本を学んでいきます。お客様との向き合い方や接客のマナーなど、ここで身に付く基本を完璧にしておかなければマネージャーになることもできません。
その後、部長あるいは副支配人として管理業務を身につけていきます。ここではお客様のことはもちろん、部下やチーム全体を管理していく能力が求められます。広報や人事に関する業務やホテルのサービス向上のためのアイデアを求められることも多くなるでしょう。
部長や副支配人として経験を積んだら、その後は支配人、マネージャーへの昇進を目指します。さまざまな部門で得た知識や経験、さらに人事管理能力、経理知識なども求められます。あなたが支配人になったことでホテルの業績がアップしたなど、しっかりと結果を残すことが大切です。
その後は大手ホテルや外資系ホテルの求人情報をこまめにチェックし、チャンスがきたら転職に動きましょう。あるいは、あなたの働きぶりを知った大手ホテルから引き抜きの声がかかるかもしれません。今いる場所よりよりよい条件、より魅力的な環境を目指してキャリアアップしていきましょう。
キャリアを積みたいホテルマンに求められるスキル
ホテルマンのキャリアップには転職を繰り返すのがよいとされています。では転職する際には具体的にどんなスキルが求められるのでしょうか。前職での経験や実績はもちろんですが、それ以外にも身に着けておくべきスキルがあります。
ホテルマンとしてキャリアを積みたいのであればぜひ身につけておきましょう。
語学力
インバウンド需要が高まっている昨今、ホテルマンにとって語学力はもはや必須スキルと言っても過言ではありません。特に一流ホテルや大手ホテル、外資系ホテルは海外からのお客様の数もかなり多くなります。
国際共通語である英語はもちろん、中国語や韓国語、フランス語など、英語以外の語学も習得できればより理想的と言えるでしょう。特にマネージャーや支配人クラスになれば、トラブル時の対応を任されることも多く、より正確な会話力が必要になってきます。スムーズな解決のためにも最低でも英語はマスターしておくようにしましょう。
コミュニケーション能力
ホテルのどの部門に転職する際にも、求められるのがコミュニケーション能力です。国、性別、年齢にかかわらず、どんなお客様にも対応できる能力はホテルマンにとって大切なスキルです。
さらに、チームワークが重要視されるホテル業界では、スタッフ間のコミュニケーションも重視される傾向があります。誰とでももうまくやっていける人、チームをひとつにまとめられる人、その場の雰囲気を和やかにできる人はどんな職場でも歓迎されるはずです。
特に支配人やマネージャーを目指すのであれば、スタッフからの信頼や支持は必要です。転職の際にはコミュニケーション能力をしっかりとアピールするようにしましょう。
管理能力
支配人やマネージャーなどの管理職を目指すのに大切なのが管理能力です。
- 自分をはじめスタッフなどの「人」を管理する能力
- お客様の荷物はもちろん、ホテルの備品や商品など「物」を管理する能力
- ホテルの経理や業績向上など「金」を管理する能力
- お客様の予約時間や滞在時間、スタッフの勤怠管理など「時間」を管理する能力
などが含まれます。
健康面やメンタル面などの自己管理能力はもちろん、部下やスタッフ全体の管理能力。さらにホテルスタッフ全体のモチベーション維持やムードづくりをはじめ、チーム全体の統制能力や業績アップのための経営管理などもすべて含まれます。
高い管理能力を持つ人材は、ホテルはもちろんどこの業界でも重宝されるもの。ぜひ管理能力を身につけるとともに、転職時にはしっかりとアピールできるよう実績を残しておきましょう。
自己アピール力
いくら高いスキルを持っていてもうまくアピールできなければ宝の持ち腐れです。転職時には自分のよさをしっかりとアピールできるようにしておきましょう。
そのためには自分を客観的に観察し、自分が人よりも秀でている部分、自分に足りない部分を分析します。秀でている部分はさらに伸ばす努力をし、足りない部分は補えるよう努力しながら、それらも含めて自分の個性としてアピールできるようにしておきましょう。
伝える際には自分の特徴や実績、経験をはじめ、自分がそのホテルに入ることによってどんな価値が生まれるのか、どんな利益を生み出せるのかを伝えましょう。ただし、自己アピールがただの自慢になってしまってはいけません。他人や他社と比べて自分を優位に見せるような自己アピールは避けるようにしましょう。
求人情報は常にチェックしておく
ホテルマンのキャリアアップには転職がつきものです。前もって採用募集がかかる新卒入社とは違い、転職の場合はどんなタイミングでチャンスが訪れるか分かりません。
特に支配人やマネージャー、部長職などの管理職の募集は、採用人数が少ないだけに貴重です。
求人情報は常にチェックして、チャンスを逃さないようにしておきましょう。求人情報サイトはもちろん、希望するホテルのホームページやSNSなどもマメにチェックしておくとよいでしょう。
まとめ
ホテルマンの平均年収は300万円程度ですが、外資系ホテルや大手ホテルでは500万円~600万円と言われています。
さらに、マネージャークラスになると1000万円以上の年収を得ている人もおり、ホテル業界で高収入を目指すのであればマネージャーを目指すのが理想的です。
そのためには、いろいろなホテルで経験と実績を重ね、転職をしながらキャリアアップしていくのが一番の近道。
転職でのキャリアップを成功させるためには、語学力、コミュニケーション能力、管理能力、自己アピール力などのスキルが重要です。転職のチャンスを逃さないようスキルアップをすると同時に求人情報をマメにチェックしておきましょう。